幻の三人目「すぎのこ村」の「すぎのこ」じゃ!
今日は幻のチョコスナックについての噺です。
娘たちが友達を呼んでチョコレートフォンデュパーティーをしております。バナナやらプチシューやらマシュマロやらに、ドロドロに溶けたチョコレートを塗りたくって喜んでいる光景を見ますと「子どもってのは、これで太らないんだから羨ましいもんだね。まったく代謝がお盛んで御結構なことですな」と大人げなく思うのですが・・・まあしょうがないですね。僕だって昔は子どもだったのですから。
そのうち子供たちの話題が「きのこの山vsたけのこの里」総選挙の話になりました。なんでも日本では「たけのこの里」が勝ち、アメリカでは「きのこの山」が勝ったとの事です「へえ~」と感心しつつも、ここは大人の威厳です。 「他にもう一種類あったのって知ってる?」と、得意の知ったかぶりを発揮してしまいました。当然、娘たちは知るわけがありません。そう、それこそバブル期に登場して、あっという間に廃盤になった伝説の第三団体「すぎのこ村」なのです。
バブル沸騰期に登場 三人目の兄弟「すぎのこ」
「すぎのこ村」は日本がバブル絶頂期へと駆け上がっていく1987年に発売されました。棒状のビスケットにクラッシュアーモンド入りのチョコをコーティングするという「ミニポッキー」タイプのチョコスナックです。その細長の形は「コロコロ」している「きのこの山」や「たけのこの里」とは少し印象が異なるものでした。
♪きのこのこのこ たぬきのこ
のこのこたけのこ にょっきりこ
きのこたけのこ あのこはだあれ?
すぎのこむらの すぎのこじゃ♪
「きのこ」が「子狸」で「たけのこ」が「子ブタ」なのに対し、「すぎのこ」は「子猪(ウリ坊)」であります。うーん正直、どっちつかずの微妙感が漂いまくっている気がしますね。
実際「子狸」や「子ブタ」と一緒に、じゃんけんなどして遊んでいるCMを観ても、なんだか「案外馴染めていない転校生」とか「鬼っ子になりがちな三人目」という感じで、「すぎのこ」は正直浮いておりました。それをリアルタイムで視ていたコロマロは、当時もう高校生でしたので「うーん、こりゃ厳しいな」と思ったものです。
それに「すぎのこ」って何でしょう? 子狸や子ブタが「きのこ」や「たけのこ」を収穫しているのはわかりますが、ウリ坊が収穫している「すぎのこ」って、そんなものは見たことも聞いたことも無く、リアル『なにそれ?美味しいの?』状態でありました。
わずか一年でマイナーチェンジ
やはり不評だったようで、わずか一年で「すぎのこの村」にテコ入れのマイナーチェンジがなされます。大きな変化は「軸のクラッカー」がココア味になった事です。これにより、商品の独自性がより強まったわけですが・・・むしろそもそも「すぎのこはコロコロしてなくて仲間感が薄かった」わけで、これによりさらに絆が薄くなってしまったように思いました。
またココア味への変更により、商品のパッケージデザインも変わったのですが、チョコスナックファミリー特有の「ほのぼの感」のあった初代のパッケージに比べ、二代目のパッケージは「いかにも80年代風のデザイン」でありました。そこからはなんだか「都会からの転校生」という感じが妙に醸し出されており、当時東北在住の僕もこのマイナーチェンジに好印象を持ちませんでした。
流通と商品棚の問題
スーパーなどでアルバイトなどをした人はわかると思うのですが、「きのこの山」と「たけのこの里」って、二つがセットで一つの段ボールに入って納入されるのですね。だからそこに「すぎのこ村」が導入された際の現場の戸惑いは相当なものだったと想像できます。
さらに商品棚に陳列する際にも「3列確保しなければいけない」というのは、スペース的にかなり厳しいものがあると思います。まあそれでも爆発的に売れている商品であればいいのですが・・・
3年持たず「すぎのこ村」は消滅…だが!
そんなわけで発売直後はヒットしたものの、どんどん売り上げがしりすぼみになった「すぎのこ村」は、バブル崩壊とともに廃村になってしまいました。そんなわけで「ウリ坊を追い出した小狸と小ブタは、そのあともずっと仲良く暮らしましたとさ。めでたしめでたし(常田富士男調)」となったわけですが・・・「すぎのこ」はただでは消えませんでした。
「ラッキーミニ」としてロングセラーに
またしても大ヒット商品の「ラッキー」の弟分としての参入でしたので、なんだかそこには「学校をたらい回しにされる落ちこぼれ」的な哀愁すら漂っておりましたが・・・これがなんと見事にヒットしまして、以後、20年近く発売された商品となったのでした。なんとも不思議というか・・・商品のブレイクというものに対して、色々と考えさせられるエピソードですよね。
そんなわけでバブル時代の仇花「すぎのこ村」のお話は、これでおしまいです。めでたしめでたし(市原悦子調)。
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