田村正和【1番カッコよかったのは「夏に恋する女たち」】1983 スキップしてメイン コンテンツに移動

田村正和【1番カッコよかったのは「夏に恋する女たち」】1983

僕の時代の二枚目俳優といいますと、間違いなく最初に田村正和さんの名前が挙げられます。では、そんな田村さんが「1番かっこよかった時期」とはいつなのか? 今日はそんな噺です。


「ニューヨーク恋物語」の田島?


これは田村さん本人も気に入っているという1988年の「ニューヨーク恋物語」の「田島雅之」です。「元エリート商社マンのバーテンダー&裏の世界に影響力を持つ謎の男&モテモテ」という田島。その役作りに田村さんは珍しく色黒に肌を焼いてきておりました。実際にドラマでも「田島」は、ただならぬムードを醸し出しており、僕は「これだよ!田村正和はこれなんだよ!!」と一人で熱くなっておりました。

しかしこの田島。ドラマ前半のミステリアスっぷりとは裏腹に、実にあっさりと仲間に裏切られ (裏の世界に精通する凄腕という設定はどこに行った?)、なんとホームレスになってしまうのです。それがあまりにも急展開でして、僕は一気に失望してしまいました。さらにはドラマそのものの終わり方というか、田島の終わり方も個人的には不完全燃焼気味でしたので、僕はこのドラマの田島を「一番カッコいい田村正和」だとはどうしても思えないのです

「夏に恋する女たち」の倉橋光男


そこで僕が一押しするのは1983年にオンエアされたTBSドラマ「夏に恋する女たち」の「倉橋光男」ですね。この当時の田村さんは40歳になろうという頃で、元来のとてつもなく甘い顔立ちに加えて、40という年齢なりの渋さがくっきり表れ始めておりました。もうそのブレンド加減は最高という感じでありまして、イケメンぶりたるや半端なかったのです。

「夏に恋する女たち」とは?


「夏に恋する女たち」は1983年に制作された都市生活のシングル族を描いた群像劇です。六本木の高級マンションの最上階に住む6人を軸に物語は動きまして、互いが互いに干渉しないライフスタイルだった彼らが、ある事件をきっかけにだんだんと関わりを持ち始めるようになり、最後には不思議な友情関係を構築していくようになる…というお話です。

登場人物

倉橋光男(田村正和)
第一線の一流フォトグラファー。離婚歴があり、女性に対して少し冷めた視点を持つ。

浅見遥子(名取裕子)
光男とポスターの仕事をコンペで争う新鋭イラストレーター。過去の出来事から男性不審になっている。

水島大介(原田芳雄)
引退がチラつくベテランホスト。幼年期に母親を亡くしたトラウマから、アイデンィティティーに不安を持つ。

青山早苗(梓みちよ)
ブティックの雇われ店長。仕事に不満を抱え、妙齢期を超えつつある自分には焦りを感じている。

上坂栄(津川雅彦)
会社や家庭では満足感が得られず、六本木のマンションに単身赴任し、裏で画商を営んでいる。

加賀律子(萬田久子)
嫁姑問題で離婚し、このマンションに移り住む。元夫からストーキングを受けている。

ミツ(美保純)
マンションの屋上でレイプされたと訴える若い女。トラブルメーカー。

多賀(岡本信人)
マンションの管理人。生真面目で口うるさく、7階の住人を毛嫌いしている。

主題歌「夏に恋する女たち」


大貫妙子さんの同名曲が主題歌になっています。名曲として誉れが高い曲ですね。アレンジは坂本龍一さん。ちなみにドラマサイズ版とシングル盤は歌詞がかなり異なっています。
劇奏は伊藤銀二さんが担当しており、その80年代感あふれるシンセサウンドが世界観にピッタリですね。

タイトルバックは横尾忠則


印象的なタイトルバックは横尾忠則さんが担当しています。これは当時、美術の世界に登場した「ヘタウマ」という観念をいち早く取り入れたもので、今現在の視点で見たとしても、とても優れたアートワークだと感じます。

当時の時代背景

1983年の日本は春に「東京ディズニーランド」が開園し、夏にはテレビコマーシャルとタイアップしたサマーソング(「め組のひと」「君に胸キュン」「高気圧ガール」「夏色のナンシー」)が流行するなど、80年代特有の明るさのある年でした。さらには空前のアイドルブームもまだ続いており、2年目の中森明菜が大ブレイクを果たしたことも印象深いですね。



しかしながら、その明るい時代に対するカウンターカルチャーなのか、テレビドラマの「おしん」や、映画の「戦場のメリークリスマス」「南極物語」というような、軽いとは全く言いがたい「日本人の琴線のふれる名作」が続出した年でもありました。

政治的には「田中角栄に有罪判決」が下り、「第一次中曽根内閣」が発足するという変革期でした。ここから日本はバブルに向かっていく事になります。

原田芳雄の剛と田村正和の柔


このドラマのメインは倉橋(田村正和)と遥子(名取裕子)の恋なのですが、それ以上に興味を惹かれるのが、ホストの水島(原田芳雄)と、倉橋の関係なのです。倉橋を一流のフォトグラファーと知った水島は「俺の本質を撮ってくれ」と倉橋に執拗に要求します。最初は乗り気のしない倉橋でしたが、水島が「営業テクニック」として披露した「涙」をみて、そこに水島の本質を見い出していくのです。

そういった過程で見る水島と倉橋…というより、原田芳雄さんと田村正和さんの「個性」のぶつかり合いが見ものなのですね。まさに剛と柔の争いという感じで、さらにはその流れの中で、逆説的に露われる「田村正和の剛の部分」というものが、もうとてつもなくセクシーなのです。

80年代的退廃感

このドラマの「80年代の六本木のシングル族」が醸し出す「浮世離れ感」は、それはそのまま80年代の退廃感に通じています。たとえホームパーティーで騒いで浮かれていたとしても、どこか「心ここにあらず」的な雰囲気を身にまとっていて、時に肉体を重ねあったにしても、互いの心は常に満たされず乾いているという…
そんな曖昧な大人たちである主要キャストの6人に対比するように、「自由人のミツ」と「堅物管理人の多賀」が脇役でいるというのも、このドラマに一定の深みを与えている気がします。

時の洗礼

しかしながら、やはり1983年のドラマですから、今と比べると色々とツッコミどころがあります。まずは物語の舞台であるマンションですね。もし今、このコンセプトで何かドラマを制作するとしましたら、舞台は当然「タワマンの最上階」という事になるのでしょうが…1983年にはタワマンなど存在しておりません。それゆえこのマンションは7階が最上階でした。その7階から六本木の街を見下ろすシーンもあるのですが…ちょっと微妙な高さですよね。


さらにはその部屋を見てみても、なんだか狭苦しいと言いますか、正直「都市生活者」への憧れが、あまり湧かないような質素な室内なのです(まあセットですけどね)。当たり前ですが置いてあるものも古びていますし…こういう面だけ見ると、この日本も、ある部分においては、かなり進化したのだなあと思わされたりもします。



そして六本木の街も、今と比べるとかなり薄暗く寂しい印象があります(まあその分、妙に怪しげではあるのですが)。やはりこの後のバブル景気と、さらには21世紀以降の六本木再開発により、この街は大きく変わったのでしょうね。

現存するマンション

ちなみにドラマの舞台となったマンションは再開発の波を(今のところは)乗り切って、今も現役で稼働しております。さらには今現在、何室か空きもありますので、住もうと思えば住めてしまうのです。

実際に僕も、このマンション界隈はわりとお馴染み(?)でありまして、一階店舗の飲食店などをたまに利用することがあるのです。まあドラマ内の光男たちのたまり場の店とは、相当雰囲気の違う店ですけどね。
しかしながら…今回、こうやって調べるまで、その建物が「夏に恋する女たち」の舞台となったあのマンションだったことに、僕は今まで全く気が付かなかったという話なんですな。これぞまさに盲点というか…自分でも可笑しくなってしまいました。

配信で視聴可能

そんなわけで話が少し飛躍してしまいましたが…
僕が一押しの田村正和さんは「夏に恋する女たち」の中に今もいます。動画配信サイトのParaviなどで全話配信中ですので、皆さまも是非ともご覧ください!

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