ブルガリアン・ヴォイス【太陽系を超えて響く歌声】神秘の歌声をもとめて 1986~ スキップしてメイン コンテンツに移動

ブルガリアン・ヴォイス【太陽系を超えて響く歌声】神秘の歌声をもとめて 1986~

1988年の初夏。当時高校三年生だった僕に、大学生の姉が「明日の朝、細野晴臣主演のブルガリアの番組をやるみたいだよ。あなた東欧が好きなんでしょ?」と教えてくれました。
その時は『まあ3倍モードなら30分くらいビデオが余っているから、とりあえず録画でもしようかな』というような感じだったのですが、まさかその後、そのビデオテープを500回くらい見直すことになろうとは…今日はそんな噺です。
 

AGFテレビエッセイ 旅の街から 

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1987~1988年の日曜の朝10時、テレビ朝日系列局では『旅の街から』という番組をやっておりました。
 
「思い入れのある一枚の絵、音楽、映画、小説などを旅券代わりにして、それぞれの分野の有名人が、その舞台となった街を訪ねてみる」
 
というコンセプトで作られている世界旅行番組でしで、当然、毎週海外ロケであり、主演した有名人本人がナレーションも担当するという、「バブル期」ならではの豪華な旅番組だったのです。

細野晴臣がブルガリアへ

その「旅の街から」で、音楽家の細野晴臣さんが訪ねたのはブルガリアのソフィアでした。当時は東欧革命&ベルリンの壁崩壊の前でしたので、まだまだ「東側」というムードが、画面からも強く視て取れました。まさにミステリアスですね。
そしてそのブリガリアから伝わり、世界的に話題になっている「奇跡の歌声」というもの。それを細野さんは追い求めていたわけです。

「この女声合唱団の何が僕を惹き付けたかというと、この地球上で最も洗練されていて、最もバランスを持った音楽だと、そう感じたのです」(細野さん)
 
 

旅の街から「ソフィア春の声」細野晴臣1988
 
そして辿りついた歌声というのは…

まあこの動画を見て頂ければ一目瞭然というか、一聴瞭然だと思うのですが・・・それはあまりにもストレートに、感受性マックス期の僕の胸に、グサッと突き刺ささったのでありました。

ブルガリアン・ヴォイスとは?

もともとブルガリアの農村に伝わっていた民謡から発生したもので、地声の不協和音のハーモニーで歌われます。さらにはビブラートの代わりに独特の「こぶし」が用いられており、それも大きな特徴となっています。


1951年に作曲家フィリップ・クーテフ氏がブルガリアの民謡に独自の編曲を施して、現代にマッチした「ブルガリアン・ヴォイ ス」を編み出しました。1986年にアルバム「ブルガリアン・ヴォイス神秘の声」が発表されると、それはすぐに世界中に広まっていき、一大「ブルガリアン・ヴォイスブーム」を発生させていったのです。

ブルガリアン・ヴォイスのCDを探して

細野さんの番組の翌日、僕は頭の中にブルガリアン・ヴォイスを鳴り響かせながら高校へ行きました。そしてその素晴らしさを(まあ、分かって貰えないのを承知の上で)同級生達に熱弁したのですね。すると意外なことに
 
「ああ、俺も見たよ。なかなか良かったよね」
 
という友人が多かったのです。そうです。類は友を呼ぶじゃないですが、イケてない田舎学校なわりに、僕の周りにはロマンチストが結構多かったのです。すっかり気を良くした僕は、放課後、友人たちとともに、ブルガリアンボイスを求めにCDショップ巡りにいきました。
 

「バルカン大地の声 ブルガリアの音楽」 

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美しいブルガリアン・ヴォイスの響きを求めて、何軒目かのショップの「民族音楽コーナー」において僕が発見したのが「バルカン大地の声 ブルガリアの音楽」というこのCDでした。「うーん、細野さんの番組で紹介された曲は入ってないみたいだなあ…やたら曲数は多いし…」と、若干不安はあったものの、ここは買いの一択です。僕は家に飛んで帰り、早速聴いてみました。そして…まあ言うまでもなく「案の定」だったわけで、それは「不協和音が美しいブルガリアのコーラス」ではなく「不協和音そのもののブルガリア民謡」だったのでした。

このCDは言わば学術的資料だったのですね。こんなものは音楽の学者さん以外は、間違いなく生涯無用の代物でありましょう。。当然、「あぜ道でブルガリアのバッさま達が声の限りに民謡をガナっているようなCD」に、小遣いの大半をはたいてしまった僕の落胆はかなりのものがありました。

 「Le Mystere Des Voix Bulgares ブルガリアン・ボイス  」


 
長々と文句を書いてしまいましたが…実はこの数日後に、僕は同じCDショップで「ブルガリアボイス」の本物(?)のCDを入手したのです。今度は収録曲に細野さんの番組で紹介された「フィレンツェの歌」が載っておりましたので、もう間違いようがありませんでした
さすがは福島。東京に一番近い東北であります。きっと番組を見たお店の人が発注したのでしょうね。

CDは「 Le Mystere Des Voix Bulgares 」というもので、vol.1とvol.2という、2枚がリリースされておりした。取り敢えずvol.1を購入です。僕はその夜、今はなき実家の自室にて、遠くブルガリアまで尋ねた細野さんと同じようなテンションで、ステレオから流れる「フィレンツェの歌」に耳を傾けていたのでした。

ブルガリアン・ヴォイスを起用したCM集 

細野晴臣さん出演の「AGFテレビエッセイ 旅の街から ソフィア春の声」がオンエアされてからしばらくすると、この日本において、本格的な「ブルガリアン・ヴォイスブーム」が始まりました。そのブームが解りやすいのがCM業界でありまして、はっきり覚えているものだけで、その年は4社もブルカリアン・ヴォイスをTVCMに採用していたのでした。

AGFコーヒー クオリティマキシム

AGF Quality MAXIM Teaser広告 ブルガリアンヴォイス 1988
細野さんの番組を一社提供していたのがAGFコーヒーでした。それゆえ番組で紹介されていた「フィレンツエの歌」をCMに採用しています。
  
キューピードレッシング

キューピー ドレッシング ブルガリアンヴォイス 1988
このCMで使われている「カリマンクデンク」は、ブルガリアン・ヴォイスの中で僕が最も愛する曲なんです。CM映像そのものも美しいですね。キャチコピーもふくめトータルで優れたCMだと思います。
 
ビジュアルの方が売りの新製品なのに、オーディオが全面になってしまうというパラドックス。まあそれだけ当時はブルガリアン・ヴォイス関連が流行っていたという事ですね。名曲「トラキアの平原から」のシリアス感が胸に響きます。
 
HONDAコンチェルト

HONDA CONCERTO 誕生 ブルガリアンヴォイス① 1988

HONDAは「コンチェルト」の意味が解ってませんよね。このBGMは「告白」という曲で、これは『この想いがあの子に伝わらなかったら、僕は若い娘さんたちが毎日洗濯に来る川辺に埋められてしまった方がマシだという、強烈な片思いを歌った歌です。

エピソード

ボイジャーに搭載された歌声


1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機に搭載されたレコードには、地球の生命や文化の存在を伝える音や画像が収められており、地球外知的生命体や未来の人類が見つけて解読してくれることを期待しているものです。
そしてその中に、ヴァリャ・バルカンスカがバグパイプを伴奏にソロで歌い上げるブルガリアン・ヴォイスが収録されているのです。果たして何万年後かに、彼女の歌声を聞く地球外生命体はいるのでしょうか?
(ちなみに太陽の隣の恒星に到達するまで最低4万年かかるそうです)

ブルガリアン・ヴォイス風の「君が代」


リオ五輪の閉会式における「2020東京五輪プレゼンテーション」の際に、ブルガリアン・ヴォイスアレンジの「君が代」が歌われました。これはとてもカッコいい仕上がりでしたので、是非とも皆さんにも聞いてほしいなと思っています。

 デビッドボウイの結婚式


 
あのデビッド・ボウイとイマンの結婚式で、ブルガリアン・ヴォイスの名曲「カリマンク・デンク」が流されたそうです(「キューピードレッシング」のCM曲)。この曲の歌詞は婚姻についてのものになっておりますので、なんだか実にピッタリな感じがしますね。

来日公演と幻の「カリマンクデンク」

ブルガリアン・ヴォイスは毎年と言っていいほど来日公演が行われています。
僕もこれまでに2度ほど観に行っておりますが、やはり生で聴く神秘の歌声は本当に格別なものがあります。そしてコンサートはアットホームな雰囲気のものです。クラシック関連の荘厳な公演とは全く違っておりますので、あまり肩ひじ張らずに楽しむことができるのです。お勧めしますよ。

そんなわけで僕はコンサートにおいて、自分が一番好きな曲である「カリマンクデンク」をどうしても聞きたかったのですが…
 

'Le Mystere des Voix Bulgares' - Kalimankou Denkou (The Evening Gathering)
 
残念ながら2回ともやってくれませんでした (特にそのうちの一回は演奏プログラムにあったのにやらなかったのだ) 。だからいつしかこの「カリマンクデンク」を、生で聴く日が着ますことを、僕は心から楽しみにしております。はい。以上です。

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