クロコーチ「モデルになった20世紀の重大事件」名作完結マンガを読む① スキップしてメイン コンテンツに移動

クロコーチ「モデルになった20世紀の重大事件」名作完結マンガを読む①

「クロコーチ」というと「TOKIOの長瀬主演の三億円事件のドラマだよね?」というくらいの認識でしたが、最近コンビニに分厚いサイズの単行本が並んでおりまして、その「三億円事件編」という帯につられ、結局はその章のみならず、最後まで初読み&読破してしまいました。今日はそれについての噺です。
 

クロコーチとは?

【クロコーチ】とは「未解決事件をテーマとしたダークミステリー」でありまして、原作をリチャード・ウー、作画はコウノコウジが担当しています。青年誌である『週刊漫画ゴラク』において発表され、2012年から2018年まで連載されました。まあ細かい話はWikipediaにお任せするとして… この【クロコーチ】というマンガを要約しますと、それは

悪徳刑事と言われる黒河内が、新人キャリアの清家とともに、日本の犯罪史上に残る未解決事件の背後に隠れた陰謀を暴き、その黒幕を追い詰めていく
 
というお話です。


 
黒が白と交わり、なおかつ善と悪の境界線を行き交いながら、未解決な物事にシロクロつけていくという物語なのであります。それ故、この物語の主人公は(タイトルである)黒河内だけではなく、清家の方もそうだと言えるのですね。
 

黒河内圭太(クロコーチ)

県警察(神奈川県警がモデル)の捜査二課の中年警部補。超腕利きではあるが、その一方で捜査情報をもとにユスりタカりを常習的に繰り返し、それで得た金で高級ホテルに常伯したり、高級車を乗りこなすような悪徳刑事。県警全員の弱みも握っているため誰も彼を処分できない。
 

清家真吾

県警捜査一課所属で東大卒のキャリア組新人警視(物語途中から公安へ移動)。清廉潔白な人間。黒河内の内偵を任され、以後パートナーとなり巨悪と対峙していく。刑事だった父親の捜査中の不審死の真相も追っており、その過程で真実の正義というものを自問し、成長していく。
 
 

戦後の有名事件を取り入れたストーリー



この物語は実在の事件、特に未解決事件を題材として話が進んでいくのですが、それらは実に巧みに物語に取り入れられており、なおかつ、時系列に矛盾を感じさせることなく、この物語のメインストーリーである【ラスボス沢渡との闘い】というものに集約されていっているなと感じました。

WEBデザイナー一家殺人事件編


モデルとなった事件 
世田谷一家殺害事件 2000
2000年12月30日深夜に東京都世田谷区上祖師谷で発生した殺人事件の通称で、警視庁による事件の正式名称は「上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件」である。 本件では一家4人が自宅で何者かによって殺害されたが多くの月日が経過した現在も未だに犯人の特定や逮捕には至っておらず、未解決事件となっている。
スーパーナンペイ事件 1995
1995年7月30日夜に東京都八王子市大和田町のスーパーマーケット事務所内で発生した拳銃強盗殺人事件である。 警視庁による正式な事件名は「大和田町スーパー事務所内けん銃使用強盗殺人事件」である。一般的な事件の名称は「ナンペイ事件」または「八王子スーパーナンペイ事件」とも呼ばれている。

この編の感想
『世田谷一家殺害事件』『スーパーナンペイ事件』がモチーフになっている章ですね。黒河内は善悪というものを使い分け、最後はイカサマ的手法を用いつつ、沢渡(物語全体のラスボスになる男)の逮捕にまでもっていきます。
マンガを読んでみて、まず最初に否定でも肯定でもなく「あれらの事件をこう扱ってしまうのかあ」と感じました。そして読み進めるごとに黒河内の人間性と、さらにはこの物語そのものの世界観というものを、戸惑いながらも彼に惹かれていく清家とともに、こちらも解っていったという感じです。
そしてこの編の終わりに佐渡が逮捕されるのですが、まさかこの男がこの物語全体のラスボスになろうとは、この時は思いもしなかったですね。

桜吹雪会事件編

モデルとなった事件
三億円事件 1968
東京都府中市で1968年12月10日に発生した窃盗事件。通称「三億円強奪事件」。後に有楽町三億円事件・練馬三億円事件との区別のため、「府中三億円事件」とも呼ばれる。 1975年12月10日に公訴時効が成立し未解決事件となった。
この編の感想
実は三億円事件の犯人が生きていて、それは警察内部の人間だというお話件の三億円は警察の陰の互助システム(桜吹雪会)の資本の大本となっていたのでした。黒河内はこの桜吹雪会と沢渡をぶつけて、沢渡を始末しようとしますが…という流れになっています。これも非常によくできたストーリーでかなり読みごたえがあります。そしてこの話は、このクロコーチという漫画の核にもなっています。実写版もこの桜吹雪会編をモチーフにしたものになっていますね。
他に『三億円事件』をモチーフにした作品というと、沢田研二主演の悪魔のようなあいつ』が思い浮かびますね。あれは本当に名作でした。前半だけは

※このドラマについてもそのうち噺をします※
ちなみに一つ小ネタですが、現実の方の『三億円事件』は「三億円と一緒に入っていたあるもの」が「犯人しか知り得ないもの」とされていて、それの暴露が『犯人であることの証明』になっているというのです。
それゆえ、今まで登場した「(自称)三億円事件の犯人」というものは、自らが犯人であることを証明できてないのです。僕は昔から入っていたものが何なのか、かな~り気になっておりますので、どうか僕が死ぬ前に、事件の詳細を発表してもらいたいなと思っております。

大人は判ってくれない編

モデルとなった事件
 警察庁長官狙撃事件 1995
1995年3月30日に当時日本の警察庁長官であった國松孝次が何者かに狙撃された事件である。 2010年3月30日に、殺人未遂罪の公訴時効を迎えた。
日本赤軍事件 1970~
1970年代から1980年代にかけて日本の新左翼系の武装組織である日本赤軍が世界各地で起こしたゲリラ事件、テロ事件。
オウム真理教事件 1989~
平成元年の坂本弁護士一家殺害事件や平成6年の松本サリン事件、平成7年の地下鉄サリン事件など数々の事件を引き起こし、合わせて29人が死亡、およそ6500人が被害に遭った。

この編の感想
『警察庁長官狙撃事件』『日本赤軍事件』『オウム真理教事件』などをモチーフとした話です。黒河内は国家転覆をもくろむテロ組織の参謀(警察内部の人間ら)が計画した原発テロおよび再狙撃事件を阻止します。清家は父親の死の真相を知り辞職しようとしますが、黒河内の導きで公安に移動となります。
僕の幼年期は赤軍がバリバリでしたが、その時はもうベトナム戦争にも区切りがついておりましたし、学生運動もかなり下火になっておりました。ですので赤軍というものは、すでに社会的には存在意義そのものが完全にボヤけた存在でありました。
当時の彼らの行動を改めて見てみても、正直「何でこの人たちはこんな絵空事を信じていたのだろう?」という疑問がかなり大きく沸くものですし、その評価は今後も変わらないと思っています。
ただ今回、こういうダークミステリーの形でも、赤軍の思想というものを振り返れたことは、タイミング的には良かったなと感じました。ある意味で真の総括という感じですかね。

スサノオの桜編

モデルとなった事件
帝銀事件 1948
1948年1月26日に東京都豊島区長崎の帝国銀行椎名町支店で発生した毒物殺人事件。 太平洋戦争後の混乱期、GHQの占領下で起きた事件であり、未だに多くの謎が解明されていない。
スーパーフリー事件 1998~2003
大学のイベントサークルを舞台にして組織的に行われた大規模な輪姦事件。大学の公認インカレサークル「スーパーフリー」のメンバーである大学生らは、1998年4月頃から常習的に女子大生らへ輪姦を行っていた。輪姦された女性の数は数百人以上に上る。

この編の感想
『帝銀事件』の時代から『スーパーフリー事件』の時代まで、時を巧みに紡ぎ、3世代にまたがせた壮大なストーリーです。スサノオは特殊な薬物による国会議員の大量殺害と、走行中の新幹線内での銃乱射を計画しますが、黒河内らに実行寸前のところで阻止されます。スサノオのトップ桜木は海外に逃亡するも、帰国した際に黒河内に爆殺されます。
帝銀事件のカラクリを現代の大量殺戮兵器に転用するというアイディアが秀逸で、毒殺もの特有のスリリングさも当然兼ね備えており、話はかなり面白いものでした。
そして過激派といえば『時限爆弾』というのも、ふと忘れがちな定番でありまして、きっちりそれでケリがついたのは納得でした。
 
 

沢渡一成編

モデルとなった事件
M資金
GHQが占領下の日本で接収した財産などを基に、現在も極秘に運用されていると噂される秘密資金。これを基にした詐欺事件は数知れないほど発生している。
 
この編の感想
『M資金』『オウム真理教事件』などがモチーフになっている最終編。沢渡は猟奇殺人を再開。国政への復帰も図る。M資金話で味方の政治家を増やし、宗教団体を使った自作自演のテロ行為で大衆の支持を集め、首尾良くトップ当選果たします。その後、自らの猟奇殺人を黒河内が立件しようとしている動きを知ると、暗殺集団を用いてそれを阻止します。
邪魔者を消し総理大臣指名が確実になった沢渡は、関係者を呼び出し、自慢げに猟奇殺人の様子を振り返りますが、その直後に黒河内によって射殺されました。しかし清家を含めた目撃者全員が黒河内の沢渡殺害を否定し、黒河内は立件されず海外へ渡ります
清家は証言拒否の責任を取りグレイを辞職し、酒井元総理のもとで政治家に転身します。黒河内は沢渡の海外隠し資産を回収し、マネーロンダリングしたのち清家に託します。そして沢渡の事件の被害者の中に、黒河内の姉が含まれていたことが示唆されて物語は終わります。

 沢渡射殺の際には、不謹慎かもしれませんが「これで終わっちゃうの?」と思いました。そう沢渡は「貴様には死すら生ぬるい!」的な意味合いで、もっと強烈な破滅を迎えるものだと思っていたのです。だから意外とあっさり死んでしまって拍子抜けでした…って、ハチの巣にされて死んだ人に言うセリフじゃないですけどね。


沢渡は「突然の議員辞職の過去」や「宗教法人とのかかわり」や「知事から国会進出」などからして、当然のことながら石原慎太郎氏がモデルだと思うのですが、それが『悪の4冠王(ナルシスト、マキャベリスト、サディスト、サイコパス)の猟奇殺人鬼』と言うのは実に強烈ですね。僕は石原氏はあまり好きではないですが、さすがに可哀想に思えてきます。
そして黒河内も最後は意外とフツーだったというか…思えば清家が黒河内と関わって変わっていったように、黒河内の方も清家と関わるうちに少し変わったのかもしれませんね。

というわけで読了です。
いやあ、読み応えのあるマンガでしたね。作者の他の作品にも期待してしまいます。

まさかのゴリ押し剛力さん

そんなわけで【クロコーチ】はかなり面白かったので、僕はより詳しく世界観を知りたくなりましてwikipediaも見てみました。するとそこにはとても丁寧に記事が書かれており、僕も興味深く読ませてもらったのです。
そしてそこでドラマ版がある事を思い出しました。「そういやクロコーチが長瀬君なら清家役は誰だったんだろう?」と、画面をスクロールした僕の目に飛び込んできたのは『清家真代』演 - 剛力彩芽という衝撃的な文字群でした。
 

 
ゴリゴリゴリゴリ!(プロペラダンス)
いやはや…当時の剛力さんがゴリ押しされていたのは判りますが、まさかゴリ押しレヴェルがこれほどまでだったとは性別すら超越している…そんなわけで、つい先ほどこの事実を知って、衝撃がリアルで冷めやらぬ中、今回はこれでお別れです。ごきげんよう!さようなら!

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