2021年。発売から半世紀となった日清カップヌードルは「カップめんのオリジン」として、50年もの長きに渡り高い人気を誇っております。
そんなカップヌードルの「1980年代」。それはレギュラーの「しょうゆ」「カレー」に続く「第3の定番」を求めた新商品開発が盛んな時代でした。今日はそんな噺です。
1970年代は定番2品の時代(プラス1)
1971年カップヌードル(しょうゆ)
世界初の「即席カップめん」であり、別名「レギュラー」とも呼ばれるオリジナルカップヌードルです。発売以降、50年もの長きに渡り、基本的な味もパッケージデザインもほぼ変わっていない超定番商品となっています。1972年天そば
「しょうゆ」の翌年に発売された世界初の和風カップめん。しかし後発の東洋水産「赤いキツネ」と「緑のたぬき」の大ヒットに駆逐され販売終了に追い込まれてしまいました(その後、日清の和風カップめんは、1976年に発売された「どん兵衛シリーズ」にて展開されていきます)。
そんな黒歴史を持つ商品ですが、2011年に行われたカップヌードル復活総選挙で、まさかの一位を獲得したのです(背景に伊集院光さんの猛プッシュがあったとのこと)。しかしながら実際に復刻発売されると、その味は「微妙」との声が多数であったりしました。それゆえに今後、2度目の復活はないと思われる商品です。
1973年カレー
コッテリとした食べ応えのある商品で、「しょうゆ」に続いてレギュラー製品として定着しきました。その後、70年代のカップヌードルは「しょうゆ」と「カレー」の2大看板制で商品展開していくことになりました。1980年代は第3の定番争い
1980年代に入ると、「しょうゆ」「カレー」に続く「第3の定番」を求めて、1カップヌードルは毎年のように新商品を発売していくことになります。
1981年チキンヌードル
スープに鶏コンソメ味を採用した「さっぱり味」のヌードルです。しかし「しょうゆ」との差異化が今一つ図れず、3年ほどでラインナップから外れてしまいました。
CMには浪曲師の広沢瓢右衛門さんを起用。しかし、当時を振り返っても、一般的な認知度が特に高い人というわけでもなく、謎と言えば謎な人選であります。
1982年チリトマトヌードル
独自の幅広麺を採用した酸味の効いた商品。チキンヌードルの反省からか、オリジナリティの強い商品となりまして、そのピリッとした辛さも女性人気を呼び、今に続くロングセラーとなっていきました。
今もチリトマトヌードルは現行ラインナップ商品として生き延びています。しかし「しょうゆ」や「カレー」と並び立つ「定番」とまでは行っていない印象で、実際にこの商品を取り扱っていない小売店も多く、いわゆる「補欠」色の強い商品だと言えるでしょう。
1983年ポークチャウダーヌードル
スープにクラムチャウダーを採用した新感覚ヌードルです。ポークベースの初の商品で、独特な濃厚味が人気を呼びますが、残念ながらレギュラー商品とまでは至りませんでした。
いかにも80年代的なCMもおしゃれでキャッチーでしたね。
1984年シーフードヌードル
魚介類のコクを再現したスープと、フリーズドライ方式の歯ごたえの良い具材がマッチした傑作商品です。発売と同時に爆発的な人気を呼び、その後「しょうゆ」「カレー」と並ぶ純レギュラー商品となりました。
「シーフード味の概念を確立した」と言われる味は海外でも人気が高く、特にフィリピンでは大人気の日本土産となっているそうです。
1986年ベジタブルヌードル
空前のダイエットブームを背景に女性をターゲットに発売するも、チリトマトヌードルほどの人気は呼ぶことが出来ず、結果、短命商品となってしまいました。
今にして思えば、ベジタブルなのに具材に練り物があるのが謎ですね。ベースを野菜スープにするなど、よりヴィーガン性を高めていたら面白かったかもしれないです。
1987年ビーフヌードル
シリーズ初のビーフブイヨンベースの商品。具材に牛肉も採用しており、その名前に恥じない出来栄えの男性ターゲット商品です(ベジタブルヌードルの失敗が反面教師になったか?)。しかし実際に食してみると、イメージほどの「こってり味」というわけでもなく、なんとも中途半端な感じも否めない商品でした。
1988年ビアンコ
ポーク味のホワイトスープで、具材にはベーコンやアスパラガスなどパスタ具材を用い、独創性を出しています。パッケージデザインは地中海ミコノス島をイメージし、白と青のシンプルなものに仕上がっています。
久々のポーク味商品でしたが大ヒットには至らずでした。思えば「南欧風」というコンセプトがいまひとつ難解でもありました。
1989年カップヌードルチャイナ
バブル期に誕生した中華味「芙蓉蟹麺」「回鍋肉麺」という2商品で売り出しました。しかし当時はカップ麺業界の販売競争が激しい時期でありまして、カップヌードルチャイナは多種多様化していく商品の中に埋もれてしまい、結果、大きなインパクトを残せずに製造終了になってしまいました。
CMにはテニスの錦織圭選手のコーチ「マイケル・チャン」氏が出演しています。NICsの時代と呼ばれた80年代最末期を象徴していますね。
勝ち残ったのはシーフードヌードル
1980年代発売の商品で現行ラインナップに残っているのは「チリトマトヌードル」と「シーフードヌードル」のみという結果になりました。その中でも「シーフードヌードル」は「しょうゆ」「カレー」と並ぶ「三大定番」の位置まで上り詰めました(1985年に新商品の発売が無かったのはシーフードヌードルの爆発的な人気のために生産ラインが確保できなかったからとのことです)。実際に売り上げ面でもカレーをしのぎ「しょうゆ」に続く2位となっています。凄いですね。
シーフードヌードルの最新のマイナーチェンジは近々の2020年10月です。そこでは「新シーフードヌードル」として特製具材「ほぼイカ」が追加されています。みなさんもこれまでとの違いを是非とも感じてみてくださいね。
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