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岩城滉一【一番カッコかったのは「デザートはあなた」】1993-1994

男から見てもカッコよすぎて、思わず惚れ惚れしてしまう岩城滉一さん。本当に「大人の男」という感じですが、そんな岩城さんが一番カッコよかった時期を独断と偏見で決めてみました。今日はそんな噺です。

『抱きしめたい!』のモテ男

トレンディードラマが大流行りしたバブル期は女性が強い時代でした。そんな女性たちの恋愛対象ともなると、それはもうハードルがとても高いわけです。しかもそれが時代のアイコンでもあった「W浅野」が取り合いをするような男となると、なかなか存在しないという話なのですね。

1988年にフジテレビ系列でオンエアされたドラマ『抱きしめたい!』において、そんなW浅野の相手役として白羽の矢が立ったのが岩城滉一さんでした。

この当時の岩城さんは37歳でした。それまでのナイフのような鋭い魅力から、大人の男としてのシブさにシフトチェンジしていた時期で、これはまさにハマり役と言えるものでした。

結果、ドラマ『抱きしめたい!』は社会現象となり、21世紀に入っても続編が放映されるような大ヒット作となったのです。

本人は『抱きしめたい!』が嫌いだった

しかし岩城さん本人は、この『抱きしめたい!』がお気に召さなかったようで、「モテない奴らが作ってるから、本当にくだらない話にしかならない」「遊びを知らない人間が想像で書いたトレンディなんて、✖︎✖︎✖︎✖︎みたいなもん」と、トーク番組において、けんもほろろにこき下ろしているのです(「たかじん・ナオコのシャベタリーノ」他)。

そしてその上で「大人の鑑賞に値する本当のトレンディドラマを作った」と、岩城さんが胸を張っていたのが、今日のお題の『デザートはあなた』なのでした。

『デザートはあなた』とは?

「デザートはあなた」は、故森瑤子さんの同名小説をドラマ化したもので(森さんはドラマ企画段階の1993年7月に胃がんで亡くなられました)、岩城滉一さんが演じる主人公が、女性ゲスト相手に手料理を振る舞いつつ、男女のさや当てを演じてみせるという、一話完結型のドラマなのでした。そのあらすじは…


大手出版社に勤務する独身男性「大西俊介」。多趣味、資産家でお金に不自由していない彼は、自宅の高級コンドミニアムに事あるごと美女を招き、得意の手料理を振る舞って口説いている。その際の決め台詞は「今日のデザートは君だよ」であった。



…というものになっています。そしてこれはただのドラマではなく、出演者のパーソナリティが生かされた脚本になっているのも特徴でありまして、そのうえで、このドラマにおける岩城さんと女性ゲストとの関係が、本当に虚構のものなのか、それとも現実のものなのか、一瞬、解らなくなってしまうような面白さもあったのです。

そんなわけで主人公は岩城さんがかなり投影されたキャラクターでありました。実際に岩城さんと原作者の森瑤子さんの間には深い交流があり、おそらく実際にモデルであったのであろうと想像できるのです。


登場人物

大西俊介(岩城滉一)

主人公で年齢は39歳のエディター。料理はプロ級。趣味は他にアウトドアスポーツ全般でとりわけバイク。バイクチームを運営しており、そこでレーサーとしての鈴鹿8時間耐久レースへの出場を目指している。

山口奈々子(毬谷友子)

俊介の恋人。職業はセラピストでこの物語の語り部。

三枝和子(夏木マリ)

俊介の旧友。同時通訳の第一人者。バツイチ。

宮脇三四郎(忌野清志郎)

俊介の高校の同級生。売れない彫刻家。とても歌が上手い。


原作は男性読者向け


もともと原作は朝日新聞の連載小説であり、これにおいて森さんがターゲットにしていたのは男性読者でありました。それゆえ「毎回、美女に料理を振る舞って口説くお話。これを読んだ男性が料理をしてみたくなるようにと、出来るだけレシピも詳しく書きました」というコンセプトの、ちょっと不思議なストーリーになっているのです。


オンエア状況

ドラマはTBSの「JTドラマBOX」枠(毎週日曜23:00~23:30)で1993年秋から1994年の春にかけて2クール(24話)放送されました。

ちなみにこの時期、フジテレビでは伝説の料理番組である「料理の鉄人」がスタートしておりまして、その枠が毎週日曜20:30~23:00であったため、同じ「料理系番組」として、視聴習慣的に良い流れが出来ていたのです。

番組開始当時(1993年)の御時世

1993年は現天皇夫の結婚やJリーグの発足という明るいニュースもあるにはありましたが、「バブル崩壊」というものが本格的に世の中を支配し始めた暗い年でもありました。

そしてそれを象徴するように、この年は「梅雨明けが発表されなかった」という特殊な年でもありました。梅雨が明けなかったことによる極端な日照不足と冷夏のため、農作物の収穫は壊滅的な不作となり、とりわけ主食のお米の生産がほぼゼロとなってしまいました。そんなわけで秋口以降は深刻なお米不足にも悩まされた年でもありました。

また就職難が深刻化していました。1993年はいわゆるロストジェネレーションの時代の始まりの時期でもあったのです。

とにかく岩城さんがカッコよかった

話をドラマに戻しますが、とにかくこのドラマの岩城さんはカッコよかったのです。オンエア当時の岩城さんは42歳。大人の男の魅力が全開で「女が惚れ、男も惚れる男」という言葉が一番適している時期でありました。それゆえ『デザートはあなた』は、まさしく「岩城滉一による岩城滉一のファンのための岩城滉一がカッコいいドラマ」になっていたのです。

岩城さんと役柄の俊介のシンクロ具合は半端なく(物語に登場するMOKEもハマーもハーレーダビッドソンも岩城さんの個人所有物だった)、森瑤子さんが作り上げた「理想の独身男性像」を体現しておりました。
そして大西俊介という人物像そのものが「大人の鑑賞に値する本当のトレンディドラマを作った」という、岩城さんの言葉に恥じない本物のおしゃれさを身にまとっていたのです。

また岩城さん扮する大西俊介はお話の中で、料理だけではなく、各種アウトドアスポーツも行っているのですが、そのどれもが思わず憧れてしまうほどのプロ級の腕前だったのです。当時一緒に視ていた連れ合いのドラマの感想も「岩城滉一を十二分に使ったドラマだったね」というものでした。

バイクレース

実際にレーサーとして参加する他に、あの鈴鹿7時間耐久レースにもスタッフとして参加しています。

オフロードバイク

KDX125で山道を爆走する岩城さん。
実は僕も憧れて同じバイクを購入しました(ハマーとかは無理なので)。

クレー射撃

射撃もお手の物の岩城さん(深い意味はないです)。

見事に当てていますね。

フライフィッシング

釣りもそつなくこなす岩城さん。

でもフライフィッシングはこの時が初体験だそうです。

ジェットスキー

岩城さんはジェットスキーでもKAWASAKIとタッグを組んでおり、グァムからサイパンまでの横断を達成しているそうです。

スキューバダイビング

簡易装備でのスキューバですね。実に楽しそうです。


乗馬

富士山をバックに白馬に乗る岩城さん。決まり過ぎです。

スノーボード

当時はスノーボードが流行り始めの時期でしたが、御覧のように実にサマになっております。


ゲストキャラクター

大西俊介こと岩城滉一さんを好きだったのは、単に視聴者層だけではなく、ドラマに登場する女優さんたちも同様だったようです。

その画面から伝わってくる「みんな岩城さんが大好き」感というものは、これがまた実に羨ましい限りというか、さすがは当代一のモテ男の面目躍如という感じだったのです。では実際にどんな人が登場したのか? 順に挙げてみましょう。


河合ゆみこ(宮沢りえ)第2話

新鋭漫画家

宮沢りえさんが、番組の実質的な初ゲストとして登場しました。ちなみに僕はこの回が新聞のテレビ欄で紹介されているのを見て、この番組を知ったのです。(それゆえ実は第1話は未見なのです)


海野潮子(杉本彩)第3話

フォトグラファー

自分をセクシーにさせてくれるものを求めている。

バブル期のアイコンの一人である杉本さん。明石家さんまさんが彼女を評して「ヒョウよりヒョウ柄が似合う」と言っていたのには笑いました。


マリコ・ヤマモト:藤真利子(第4話)

メイクアップアーティスト

原作ほどではないものの「相性の悪い二人」がテーマという斬新なエピソードです。しかしながら演技後の雑談シーンを見る限り、岩城さんと藤さんの相性は(思わず勘繰りたくなるほど)なかなかのものです。


川中真美:中嶋朋子(第5話)


ミュージシャン
「北の国から」でも共演していた二人ですね。中嶋さんがぐっと大人っぽくなっておりまして、岩城さんと男女の駆け引きを演じていても全く違和感が無くなっていました。嬉しいような、それでいて少し寂しいような気も。


廻耀子:かたせ梨乃(第6話)

女流作家

モデルは当然のことながら森曜子さんご本人ですね。大人の女性の魅力で俊介を包み込みます。実際の森さんと岩城さんの関係を体現したかのようなエピソードになっています。


景子:真行寺君枝(第9話)

俊介の初恋の人。

夫の長期不倫に激怒して、不倫をやりまくろうと画策している俊介の初恋の人という設定。原作ではかなり複雑なエピソードなのですが、それを上手くまとめて、「大人の上手く行かない恋の話」に昇華しています。


高橋ミエ:池上季実子(第10話)

ソムリエ
ワインに合う料理をテーマに俊介とセッションを行いました。
バブル期のワインブームでソムリエの人気が高まり、当時は結構な数のワイン教室がありましたね。


安達乃里子:萬田久子(第11話)

陶芸家

僕の知り合いにも陶芸家がいますが、本当にこんな感じの「世捨て感」がありますね。ちなみにこの回の「オイルサーディンどんぶり」は、作者の森曜子さんの秘密兵器的料理だったそうです。


磯崎ルリ:七瀬なつみ(第12話)

新人女優。

その後、司会業などもこなしていく七瀬さんですが、この時はまだ少女の面影を残した雰囲気でとても可愛らしく演じておられます。


村上なつみ:名取裕子(第13話)

グァムのホテルのオペレーションマネージャー

ドラマ合間に岩城さんから名取さんがジェットスキーを教わっているシーンがあるのですが、これがなかなかいちゃいちゃ感があって、もうケシカランです。



原田ミチル:田中律子(第14話)

新婚旅行中の花嫁

「プリティタイフーン」という副題が表わしているように、自由奔放な女の子役。当時23歳の田中さんがとても生き生きしています。ちなみに筆者は彼女と同い年。この回を見るたびに、つくづく当時は自分も若かったんだなあと痛感します。


小杉エツコ:倍賞美津子(第15話)

俊介の会社のそばの花屋さん

未亡人役の倍賞さん。「上司にしたい女性」のNo1に選ばれていた時期で、大人の女性の魅力が全開となっています。この回の「野鳩のポルトワインソース」は、番組屈指の難料理でもありました。


友永ユイ:東ちづる(第17話)

フリーター

元気いっぱいな東さんに、忌野清志郎さんがたじたじになっている様子が面白いです。忌野さんはロッジで弾き語りで「窓の外は雪」を披露するのですが、演奏後に「アガッてまーす!」と叫んで周囲の笑いを取っています。


野口もえこ:風吹ジュン(第18話)

三四郎の見合いの相手

見合いという設定なので、風吹さんと忌野さんのツーショットで長い尺の芝居が続きます。忌野さんの拙い演技にひやひやしつつも、なかなか面白い展開になっていきます。


西田シンゴ:池畑慎之介(第19話)

高校の同級生で俊介のライバル。

唯一の男性回。池畑さんは最初に話をもらった際に「女優さんとして出るのか?」と思ったそうですが、高校時代の思い出に絡めたシナリオがとても秀逸です。神回として人気のあるエピソードでもあります


菊池サトミ:紺野美沙子(第20話)

イルカの調教師

こんな美女が酔っ払っていたらお持ち帰り…というお話ですね。しかしながらそれが下世話にならないのは、大西俊介というキャラクターと、岩城滉一という人間性なのでしょうね。


マイコ:川島なお美(第21話)

旅館の女将

お姉さん役から、少ししっとりした役を始めたころの川島さんですね。旅館の危機を救い去っていく大西俊介がヒーローすぎです。この川島さんが故人というのも信じられないですね。


実質的な最終回

最終回は総集編でした。それゆえ実質的な最終回は22話になりました。

セラピストの奈々子が仕事のトラブルで落ち込んでいます。それを慰める俊介。そこに和子と三四郎が登場。4人で食事になり、そこで和子と三四郎は一緒にスペインに行くと言いだします。「俊介、お前は解っていないんだよ。周りにいろんな影響を与えているということを」

奈々子が仕事に戻った後で、三四郎がRCの隠れた名曲「上品な猫のような君が」歌います。これが本当に素晴らしい演奏なのです。

俊介はさみしさを隠しつつ、去っていく二人に最高のワインと最高の料理を振舞います。

2人が去った後に元気を取り戻した奈々子がやってきます。
原作を知っている人からするとグッとくるシーンでもあります。
奈々子のために料理をする俊介をバックに
「俊介は多くの女性の心を料理で癒してきた最高のセラピストです」
と奈々子が語ります。
「俺には君しかいない。だから…」
「だから?」
「今夜のデザートは君だよ」
その直後に三四郎たちが引き返してきてレギュラー4人がまた揃います。主題歌の「プライベート」のライブで大盛り上がり状態の中、物語は終わります。


再放送もDVD化もされていない幻の作品

実はこの「デザートはあなた」は、1993‐1994年の本放送以後、一度も再放送されたことはなく、さらにはビデオ化もDVD化も一切されていない幻の作品となっています。

当然、これだけ多くゲストが登場する番組ですので、その権利関係を調整するのは大変な事だろうと容易に想像できますよね。さらにはBGMとして使われている曲も、各話で名曲を惜しみなく使用していますので、これもまた権利をクリアするハードルはかなり高そうなのです。

しかしながら「デザートはあなた」の中のカッコ良すぎる岩城さんを見るにつけ、そんな諸事情にのり、このドラマを封印してしまうのは、あまりに惜しい事だと僕は思うのです。

ですので、また何らかの形で、この番組が私たちの目に触れる日があると信じて、この噺を終わりにしたいと思っています。


おまけ

宮脇三四郎こと忌野清志郎さんが劇中で歌った歌

「プライベート」主題歌

「帰れない二人」井上陽水と共作

「原付バイクで捕まった歌」即興曲

「雨上がりの夜空に」RCサクセションのブレイク曲

「この愛が可哀そう」23’s時代の隠れた名作

「明星即席ラーメンの歌」商品名を・・・

「500マイル」ピーター・ポール&マリーのカヴァー

「窓の外は雪」ロッジで弾き語り

「上品な猫のような君が」


TV&CM

東京ローカルなもの【目頭が熱くなるCM編】1989

萩原健一【傷だらけの天使】ニッチな全話レビュー 1974-1975

田村正和【1番カッコよかったのは「夏に恋する女たち」】1983

深津絵里【10代と40代の透明感】PASCOのパン屋さんに会った日 1988~

ねるとん紅鯨団【バブル期を彩った素人参加お見合い番組】1987-1994

アーノルド坊やは人気者【冗談は顔だけにしろよ?】1978‐1986

Mr.マリックの超魔術!【昭和最末期に登場した謎の超魔術師】1988~

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